JMPマガジン160
さがす・読む・伝える はじめての医学系情報
- ●監修 大野 智 島根大学医学部附属病院 臨床研究センター
- ●著者 佐藤 正惠 千葉県済生会習志野病院
- 北澤 京子 京都薬科大学
- 渡邊 清高 帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科
- ■A5判/128ページ
- ■定価2,200円(本体価格2,000+税)
- ■ISBN 978-4-86577-057-5
【対象】学生・医療従事者・記者・ジャーナリスト・図書館員・患者支援者・ヘルスサイエンス系企業関係者・信頼できる医療情報を得たい方々
内容
本書は健康・医療に関する情報や論文を「さがす」「読む」「伝える」の各シーンにおいて必要となる基本的な知識をまとめた。
信頼できる医療・健康情報の見極め方・読み解き方をわかりやすく解説。ヘルスリテラシーと情報リテラシー向上を目指した1冊。
目次
第1章 さがす
- 医学系論文検索の基礎知識 (佐藤 正惠)
- はじめに
- リサーチ・クエスチョンを整理する
- 情報源の階層と「6Sピラミッド」
- 検索エンジン:Google(グーグル)とYahoo!Japan(ヤフー)、
- Google Scholar(グーグル・スカラー)
- 文献データベース:CiNii Reserch(サイニィ・リサーチ)
- 文献データベース:J-STAGE(ジェイ・ステージ)
- 文献データベース:医中誌Web(イチュウシウェブ)
- PubMed(パブメド)
- Cochrane Reviews(コクラン・レビュー)、
- Cochrane Library(コクラン・ライブラリー)
- 【コラム】お気に入れておきたいWebサイト
- 【コラム】図書館と司書の活用
-
第2章 読む
- 1. 学術ジャーナルの歴史と現在 (佐藤 正惠)
- はじめに
- 医学系学術ジャーナルの歴史
- オンライン・ジャーナルの誕生
- オンライン・ジャーナルと著作権
- :クリエイティブ・コモンズ(CC)・ライセンス
- オンライン・ジャーナルと論文投稿料(APC:Article Publishing Charge)
- 論文評価指標
- ハゲタカジャーナル・ハゲタカ学術集会
- さまざまなオンライン研究者コミュニティ
- 2. 論文の選び方・読み方 (北澤 京子)
- なぜ論文を読むのか?
- 疑問には2種類ある
- フォアグラウンドの疑問とEBM
- EBMとは
- EBMの5つのステップ
- EBMのステップ1:疑問の定式化
- EBMのステップ2:情報の収集
- 【コラム】インターネット上の健康・医療情報
- 査読(ピアレビュー)とプレプリント
- 【コラム】研究不正
- 臨床研究デザインの分類
- 疑問の種類と研究デザイン
- 観察研究① 横断研究と生態学的研究
- 観察研究② コホート研究
- 観察研究③ ケース・コントロール研究
- 【コラム】臨床医学の原点、症例報告
- 介入研究 ランダム化比較試験
- バイアスを減らすための工夫
- 新薬開発で実施されるRCT
- システマティック・レビュー
- 研究デザインのピラミッド構造
- EBMのステップ3:批判的吟味
- RCTの結果の表し方:相対リスクと絶対リスク
- 95%信頼区間
- P値とP値ハッキング
- 【コラム】誤解を招く図:グラフの縦軸問題
- 【コラム】6Sピラミッドと診療ガイドライン
- EBMのステップ4:エビデンスの適用
- EBMの限界
-
第3章 伝える
- 健康と医療情報を吟味する「メディアドクター指標」 (渡邊 清高)
- はじめに
- 「血液1滴で、かくれ○○を診断する画期的な検査法が開発!」は適切か?
- 「信頼性」「確からしさ」を見極めて情報を吟味する
- 「メディアドクター」の取り組み
- 医療者とジャーナリストの協業からはじまった「日本版メディアドクター」
- 医療・健康情報を見極める「メディアドクター指標」
- 「新しさ」と「確からしさ」を考える-メディアドクター指標を用いた評価の実際
- 「メディアドクター指標」徹底解説
- ①利用可能性:どのような人の利用に適しているか、正確な情報を提供していますか?
- ②新規性:どのような点が新しいか、正確な情報を提供していますか?
- ③代替性:既存の代替できる選択肢と比較していますか?
- ④あおり・病気づくり:あおりや病気をつくり出す内容になっていませんか?
- ⑤科学的根拠:科学的根拠の質を踏まえて書かれていますか?
- ⑥効果の定量化:効果を適切に定量化していますか?
- ⑦弊害:弊害について、正確でバランスのとれた情報を提供していますか?
- ⑧コスト:入手・利用などに必要な費用について述べていますか?
- ⑨情報源と利益相反:情報源・研究開発の主体(研究機関・研究者など)・資金源など、利益相反について読者が判断できるように述べていますか?
- ⑩見出しの適切性:見出しは、内容を適切にわかりやすく要約していますか?
- 記事の背景を読み解く「メディアドクター指標」
- 対話による議論と合意形成
- 医療者とジャーナリストの学びの場
- 情報を吟味する入り口「5項目のメディアドクター指標簡略版」
- メディアドクター指標を用いた「ヘルスリテラシーを学ぶ場づくり」
- 施策上の意思決定に必要な視点も提供
- メディアドクターの広がりと対話を深める取り組み
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【著者プロフィール】(執筆順)
佐藤正惠(さとう まさえ)
- 千葉県済生会習志野病院 図書室司書
- ヘルスサイエンス情報専門員。検索技術者1 級。放送大学大学院(学術修士・情報学)、慶應義塾大学大学院(修士〔図書館情報学〕)修了。
北澤京子(きたざわ きょうこ)
- 医療ジャーナリスト・京都薬科大学 客員教授
- 著書に『患者のための医療情報収集ガイド』、訳書に『ニュースの数字をどう読むか-統計にだまされないための22 章』(ともにちくま新書)など。
渡邊清高(わたなべ きよたか)
- 帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科 病院教授
- 東京大学卒業。国立がん研究センターがん対策情報センターなどを経て、2014 年より現職。メディアドクター研究会幹事長。
- 『腫瘍内科医が教えるがんになったらすべき対策大全』(監修、扶桑社)など。
【監修者プロフィール】
大野 智(おおの さとし)
- 島根大学医学部附属病院 臨床研究センター 教授
- 1998 年島根医科大学卒業。その後、金沢大学、帝京大学、大阪大学等を経て、2018 年より現職。2022 年より同附属病院副病院長(安全管理担当)を兼務。
【メディアドクター研究会】 http://mediadoctor.jp/
メディアドクター研究会は、医療者、ジャーナリスト、政策立案者、患者・市民等の連携により、医療・保健情報の評価を通じて、患者・市民にとって有益な情報に関する共通認識を形成し、その質を向上させることを目的とする会です。2 ヶ月に1 回セミナーおよび定例会を開催しています